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2026/08/15 15:06


鹿革と、森の胡桃。


巾着は、昔からある形です。革を袋にして、紐を引けば口が閉じる。特別珍しいものではありません。


私自身、以前にもこれに近いものを作ったことがあります。今回は、そのときの記憶を辿りながら、もう一度作ってみました。


特に何を入れるために作ったわけではありません。手元にある鹿革を眺めていて、「これで、あの形を作ってみよう」と思った。それだけです。


この巾着に使っている鹿革は、私自身が捕獲した鹿の皮から作っています。


捕獲する。皮を剥ぐ。鞣す。そして、革になったものを自分で加工する。捕獲から鞣し、製作まで、すべて自分で行いました。


中央に使っている木の実は、オニグルミ。これも美杉の森で採取したものです。

鹿革と、美杉の森から得た胡桃。二つの素材を組み合わせて、一つのものにしました。


巾着そのものは、決して新しいものではありません。むしろ、とても単純な構造です。革を袋にして、紐で絞る。それだけ。


でも、私はこういう単純な形が好きです。複雑な構造にしなくても、素材そのものに表情があれば、それだけで成立すると思っています。




鹿革には、一枚一枚違った表情があります。傷跡や皺、厚みの違い。工業製品のように、すべてが均一ではありません。


だから、同じものをもう一度作ろうとしても、同じものにはならない。そこが天然素材の面白さだと思います。

そして、オニグルミ。

柔らかな鹿革に、胡桃の硬さが加わる。革だけで作るよりも、少し表情が出ました。

作ってみて、「少し可愛らしいな」と思いました。


この作品で私が面白いと思っているのは、小さなものの中に、いくつもの工程がつながっていることです。


山で鹿を捕獲する。その皮を自分で鞣す。革になったものを自分で加工する。美杉の森を歩き、オニグルミを採る。そして、それらを組み合わせる。


完成したものだけを見ると、小さな巾着です。でも、その後ろには、山で過ごした時間と、素材を扱った時間があります。


ものを作るとき、「何を作るか」を先に決めることもあります。


今回は先に素材があった。そして、その素材を見ながら、「これで何ができるだろう」と考えた。

私は、こういう作り方も好きです。

この巾着に、特別な使い方は決めていません。小銭を入れてもいい。小さな道具を入れてもいい。何か大切なものを入れてもいい。


使う人が決めればいいと思っています。

鹿革とオニグルミ。


どちらも美杉の暮らしの中から生まれた素材です。それを使って、一つのものを作る。

それだけの小さなものですが、私はこういうものづくりを続けていきたいと思っています。


捕獲から鞣しまで。素材から製作まで。自分でできることを、一つずつ。

この巾着を見て、何を感じるか。何を入れて使うか。そもそも欲しいと思うか。


そこは、見た人にお任せします。


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