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2024/05/08 23:59


タンニン鞣しの「ピット」と言われる製法で革鞣しを行なっています。

タンニン鞣しには「ピット」と「タイコ」と言われる製法があります。


世間一般には

「ピット」

じっくりタンニンを染み込ませることにより時間が必要。

じっくり繊維にタンニンを染み込ませることによりダメージを与えず、耐久性がある


「タイコ」

タンニンを叩き込むことにより比較的短時間で製造可能。

叩き込むことにより繊維にダメージを与えることになり繊維が緩む。


どちらがより優れたものか?と人はすぐ比べますが、

製品の特性を考え選択するものと考えます。


そこでなぜ自分は「ピット」を選んだか?

「タイコ」は大きなドラム式洗濯機のような設備のことでその設備と設置する大きな建物が初期投資として必要。さらに動力で動かす光熱費がかかります。少量では採算が合いません

それに比べ

「ピット」はたくさんの槽が必要となりますが、過疎地に溢れる空き家の古民家で可能。狩猟(有害鳥獣駆除)で獲る頭数で対応可能。

何より私が再現したい『かつて各家庭で革を鞣し、それを業者が買い付けに来ていた』

これが可能なのは「ピット」となり自分の生活スタイルに取り入れました。


「ピット」はフットワーク軽く、同種の獣でも違いが多くある1枚1枚の皮の表情を見ながら品質向上させることができ、多品種の獣にも合わせることができます。

そして、田舎の流れる時間にあっています。川の水の流れる音、鳥のさえずり、工房の窓から見える猫の昼寝。

ゆったりとかけた多くの時間が革に宿りそれが必ず伝わると信じています。