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2020/09/09 17:36

三重県の中で建造物として唯一の『国宝』高田本山専修寺のある津市一身田町

歴史的建造物が立ち並び
町家も数多く残る一角にある


「臼井織布」


komorebiのブッシュクラフトキャップの裏地に使っている生地の工房を訪ねた

三重県でキャンプ場開拓やブッシュクラフト活動している私が
縁があり繋がった伝統工芸品 (1995年三重県の伝統工芸に指定)


その生地は
江戸時代より250年以上続く伝統の『伊勢木綿』(いせもめん)
撚りの弱い糸を使用しているため、洗っていくうちに撚られた糸が綿に戻ろうとして
生地が柔らかくなるという特徴を持つ



撚りを戻し
引っ張ると簡単に千切れてしまうが撚ると千切れることはない


国内でも1番品質のいい最高級の綿を
番手(糸の太さ)ごとにそれぞれ違う場所から綿を取り寄せていると社長


現在は「臼井織布」1軒だけが伊勢木綿を製造する唯一の織屋
もっと詳しく話を聞くと昭和40年ごろより臼井織布一軒のみになったそうです


海外の原料、材料を使い
生産だけ国内で行い
もしくは組み立てだけを国内で行い
それを国産というものの多い中


原料の綿も在来種、栽培も国内
全てを一貫して国内で作られる伊勢木綿

『正真正銘の国産』


最初から
国産といっていたわけではなく
時代の変化に合わせて

現社長のお爺様が
海外の綿を仕入れ伊勢木綿を作った事もあったそうですが
品質が悪く生産には至らず

その後も
日本の綿を海外で栽培し、伊勢木綿を作ろうしたこともあったそうですが
それもやはり品質に難があったそうです


本当の伊勢木綿の柔らかい風合いを出すには
日本の在来種の綿で
日本の気候で栽培された綿しかダメだと結論に至ったと
社長は笑顔で強く仰られていました。



織機が並ぶ奥の部屋は
門構えからは想像もできない雰囲気

100年前の織機が約40台ほど並び
鋳物で作られたその織機は圧倒的な重厚感を醸し出す


40台ほどの織機
それぞれに一個のモーターがついているわけではなく

 

40台の重厚な織機をたった2つの動力で動かしている
長いシャフトからそれぞれベルトがあり
それが織機に繋がっているだけなのだ

これはすごいと感動したのだが
それだけではなく

シャフトより繋がっているベルトはゴムではなく

「革」

革でできているのだ。馬革だそうだ
この馬革のベルトでないとうまく織ることができず

このベルトの馬革も現在は入手が困難

そして
困難なのはベルトだけではない
織機が古く修理したくても代わりのパーツはもはや存在せず
創意工夫し愛情かけて修理されている伝統工芸伊勢木綿


大事な製品も
伝統工芸と言っても全く古臭いイメージはなく
とてもモダンな雰囲気の柄なのだ




どうやってこの複雑なチェックやストライプの柄を織っていくのか?
それは
編み図のようなレシピ帳のようなものがあり
それを使いセッティングする


たくさんの重厚な織機の並ぶ工房
動力の音、織機が動き生地を織っていく音
綿の匂い、床に落ちている綿ぼこり

その中で淡々と織機の調整を繰り返す工員の方々



1反(13m)を織るのに丸1日を要する伊勢木綿
たった13mだが
13mの中にこれほどの思いと歴史が込められている



現在は
テキスタイルで有名なマリメッコ社の元デザイナーの脇坂氏が
伊勢木綿を使いデザインしたものがあったり
スニーカーのムーンスター、セレクトショップのビームスなどに
伊勢木綿が使われたりコラボしたり
独自でも着物だけでなく小物や鞄など商品開発に積極的に取り組んでいる



最後に伊勢木綿を使い作った帽子を社長、社員の方に見ていただき
お好みのカラーの帽子をひとつ受け取っていただきました

その時に
表の生地の素材にも興味を示されとても嬉しく感じました

今回は臼井織布を訪れた理由は
素材の生産現場を見てみたいとゆう理由と
出来上がったものを見て欲しいとゆう理由からでした


この機会を与えてくれた
臼井織布の方々と
WOODsLANDMioのオーナーに感謝致します